ART PROGRAM

アート・プログラムとはGaleria Puntoを母体とした実行委員会で、美術館や画廊と言った特定の空間で接することの多かった美術作品を公共の空間へ展示することにより、環境の向上、芸術・文化の振興及び地域の活性化に貢献することを目的とし、2006年に岡山市立市民病院でスタートしました。アート・プログラムは、広く様々な空間でアートの可能性を探る試みを続けています。

次回のアート・プログラムの開催は、2021年 兵庫県加古川市 刀田山鶴林寺にて開催。

アート・プログラム実行委員会ではボランティアスタッフを募集しています。アートに興味のある方は、事務局Galeria Puntoまでお気軽にご連絡ください。

「施美時間」のはじまり

私たちのアート・プログラムは、2006年岡山の病院で始まりました。その際、関係者には以下のようにお話してきました。「時々耳にする“病院”にアートを持ち込むという言い方を私は好みません。それだと、“病院”には本来アートは無いとの前提のようです。“病院”という言葉は英語の“hospital”に対する訳語として中国で誕生し、我が国では明治維新直前に長州藩の医師兼軍略家村田蔵六(大村益次郎)が初めて用いたそうですが、“hospital”の語源はラテン語のhostis(見知らぬ人)で、それはhospitalis(見知らぬ人をもてなす)から英語の“hospitality”へと続きます。そして、“hospital”は、長い歴史の中で、それを育んだ時代時代のもてなしの文化、アートと密接な関係をもってきました。残念ながら、日本では戦後効率的に設計・建設された“病院”に、本来、内在するべきアートが希薄であったかもしれません。」

しかし、我が国には“病院”よりもはるかに古い時代から、医を行う場がありました。聖徳太子が建てられた四箇院が思い出されます。医の空間には、豊かな仏教美術も存在しました。聖徳太子に縁の深い、そして薬師如来を本尊とする播磨の名刹、刀田山鶴林寺で「アート・プログラム in 鶴林寺」を開催するにあたって、何度か同寺に参りましたところ、病苦など多くの苦しみ、悩みを抱えた人々が素晴らしい仏教美術の施しをうけたであろう長い歴史が想像されました。

「アート・プログラム in 鶴林寺」で鶴林寺の長い時間の流れに現代アートを加えることで、美の施しがさらに豊かになるのではないかと期待しています。そのような願いを込めて、テーマを「施美時間(せみじかん)」といたしました。

現代作家の作品は、同時代を生きる作家の意図と鑑賞する人々の思いが、社会の情勢の影響を受けながら呼応して力を発揮します。
未曾有の震災を経験し、祈りと希望を希求する今、長い歴史の芸術を擁して人々を育んできた鶴林寺において現代アートの作家によるアート・プログラムを開催できることは、また、未曾有の好機と感じる次第です。
皆様のご支援に感謝申し上げ、多くの方々に施美時間を過ごしていただきますことを念じております。

【「施美時間」の開催履歴】