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| 一本の糸がいちばん自然で美しい状態を作り出す。 それは素材の持つ“素”の部分との対話でもあるのです。 軸線の上を等間隔に一本の糸を旋回させていくと、幾つもの重なり合う円弧がリズミカルな動きを生む、線から面へと移行するプロセスの中で、生命感覚が糸の持つエネルギーとひとつになっていきます。それを空間に解き放った時、糸はわずかな空気の動きにも敏感に反応し、表情豊かな流れを生み出しながら、空間に関わり合う意味を明確にしていくのです。形作られ設置された空間のなかでの素材は、一つの運動の軌跡としてだけ残り、その実在を消滅させるように“素材”への思考が垣間見ることが出来ればと思うのです。 |
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