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棘のあるかたち

7月と11月に2部構成で行っている企画展「点から線へ」の3人目、川越里美の「Organic Shapes」。

その作品について、金沢美術工芸大学 教授の池田晶一氏が的確に述べてくださっている。

 

川越里美の造形 〜柔らかく頑なな形〜

彼女の作品は分かり易く言えばウニのような形状をしている。棘の様な突起が出ており、一見頑なな、しかし柔らかな不思議な印象を与える。また、今にも動き出しそうな、いくつかの塊に分割してゆきそうな蠢きを感じる。

また制作や上では彼女の作品は精巧で妥協がない。陶磁器という素材を使う上で、彼女の制作は非合理的である。しかしその非合理の中に生まれる表現として、魅力が生まれている。片手間にやっていては出来る仕事ではない。これは、京友禅の染み抜き職人であった父親の職人気質を引き継いだ、彼女の気質と感じる。

細い粘土の棒を一本一本付けてゆく。棒を作る作業、そしてそれを取り付ける作業、どこを見ても正確な根気強さを必要とする。長いものだと作品を一つ完成させるまでに4〜5ヶ月の時間を要するそうだ。目の前の作品にこれだけの時間対峙し続ける目線は、職人としての目線だと感じずにはいられない。また、表面的には手技の痕跡を感じさせないところが魅力でもある。

柔らかく動き出しそうな、しかし、その表面には棘の様なものがあり、外との距離を一定に保っている。頑なな外形からは、その内側は垣間見ることは出来ないが、棘のわずかな蠢きからそこにある大切な生命力の様なものを感じる。

彼女の作品に向き合う姿と、これからの作品展開にも期待を込めて見続けて行きたい。

金沢美術工芸大学 工芸科 教授 池田晶一

 

 

その中にもあるように、川越さんの作品は一貫して棘のようにも見える陶製の棒状の集合体で出来上がっている。

そう知ったとたん、多くの人は その気の遠くなるような作業に驚愕する。

川越さんの ある種 職人のような制作の繰り返しの先に見えてくるもの、

それが工芸の域に留まることがないのは、逆に その繰り返しなくしては表現として昇華できない

自然界の時間にも通ずる造形への確かな感覚故ではないだろうか。

それは、実際の作品を見てもらえると納得がいくだろう。

 

 

 自然の中には、とても美しく心奪われるような形があります。とてつもなく長い時間を経て、少しずつ形を変えながら現在の姿になり、私達の周りに存在します。あまりに当たり前すぎて、普段の生活では意識する事も少ないかもしれませんが、今まで普通だと思っていた事がそうでなくなった時に、初めてその存在の大きさに気付き、かけがえのないものだった事を実感するのです。

 私は、自然の形をテーマに制作をしています。自然の形はミクロの目でみると、無数の同じ形の集合体であり、とても美しい形をしています。私の作品も同じ形の棒を集合させ、棒の疎密とグラデーションになっている色で、より形を強調するような表現をしています。一見、陶芸の作品には見えないかもしれませんが、だからこそ陶芸で表現する意味があるのではないかと思います。自然の美しさや大切さを感じていただける様な作品を作っていきたいと思っております。  川越里美

 

3日(土)、4日(日)、11日(日)は、作家が在廊いたします。

是非、ご高覧ください。

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